エイチ・エス証券さんから、ゼロクーポン社債 トルコリラ建て
が発売されました。
以前、アメリカ国債のゼロクーポンのお話をしましたので、ゼロクーポン債とはどんなもの?
のサンプルとして中身をすこし詳しくみて行きましょう。
【運用期間】:2024年3月8日満期(約5年)
【利回り】:15.54%(税引き前、複利)
【売出価格】:額面の48.56%
【売買単位】:最低20.000トルコリラ以上、10.000トルコリラ単位
【販売期間】:2019年1月28日から3月6日
額面は100%なので、100%の債券を48.56%に割引いて販売しますよ。
2024年3月8日の満期まで持っててくれたら、48.56%で販売した債券を100%にしてお返ししますよ。
という債券(国債ではなく、今回は社債)です。
ですから、48.56に利回り15.54%なので、1.1554を5回(5年)掛けてみて下さい。
ほぼ100になるはずです。
最低販売価格は20.000トルコリラ
1トルコリラ 21.12円
とすると、
20.000TRY × 21.12円 = 422.400円が必要ですが、それを48.56%割引くので、
422.400円 × 48.56% = 205.117円
よって、最低必要金額概算 21万円程度と
書いてあるわけです。
で、この21万円が毎年15.54%で運用されて、5年後の2024年3月8日に
約2倍の42万円になって償還されるという債券なんです。
このゼロクーポンのしくみは、今回のような社債でも、以前ご紹介したアメリカ国債でも変わりません。
毎年の利払いがないので、ゼロクーポン(利回り)と呼ばれていますし、割引かれて販売されますので、割引債とも呼ばれています。
で、この債券を3月6日まで販売してますよという事ですね。
【発行元】:クレディ・アグリコル・コーポレート・アンド・インベストメント・バンク
今回の債券は民間企業が発行しているので、社債です。
以前ご紹介したゼロクーポン債は、アメリカ合衆国が発行していので、国債となります。
格付けはA1(Moody’s)、A+(S&P)、A+(Fitch) で安全性は投資には適するとされる会社ですね。
たとえばムーディーズ社では、
「信用力は中級の上位、かつ信用リスクは低い」と格付されています。
また、スタンダード&プアーズ社では
「債務履行の能力は高いが、事業環境や経済状況の悪化は超優良会社に比べると受けやすい」とされています。
(ムーディーズ社格付:ムーディーズ社HPより)
(スタンダード&プアーズ社格付:S&P社HPより)
比較的高い格付けをされた企業ですから、大丈夫かとは思います。
ただし、この会社が倒産したら、このゼロクーポンは限りなくゼロになります。
たぶん、0円。
俗に言う、紙切れと言うやつです。
なので十分考慮して購入する必要があります。
リーマン・ショックの時、格付けの高い会社でもどうなったかは、みなさんご存知の通りですよね。どんな信用力の高い企業より、アメリカ国債の信用力は高いのです。
「5年で2倍になるなら、
どえりゃ〜ええがや!」
となるところですが、このご時世、なぜこんなに利回りが高いの?
と疑ってみて下さい。
例えばアメリカ国債のゼロクーポンは、5年物だと、2%後半くらいです。
その差は、ズバリ信用の違いです。
リスクとして、トルコの為替、政治、経済などがアメリカに比べ沢山あるから利回りが高いのです。
その中でも特に為替なんですが、広告裏面にトルコリラと円の為替レートが載っています。
10年で3分の1になっています。
5年でみても半分以下です。
よって今後5年間で、為替が10円になったら為替ロスで半値。
でも、利回りで2倍になるから損得なしですね。(手数料などは無視)
為替が5円になったら、投資金額21万円が12.5万円になってしまいます。
逆に
為替が20円に戻していたら、
為替で2倍、利回りで2倍となり
投資金額21万円が
84万円になって償還されます。
最低販売価格の21万円くらいなら、ゼロになってもいいから、ギャンブルしてみたいと思う方には、夢がありますよね。
以前ギリシャがEUから脱退するだヘチマだとか言って騒ぎになったのがもう5~10年くらい前のはなし。5年なんてあっという間です。
あの頃ギリシャ国債は30%を超えていたはず。すると利回りだけで、5年で100万円が370万円位になっているはずです。
(為替は無視、でもユーロですからそんなには影響ないような)
なので今のトルコの擦った揉んだも、5年後には、そんな事あったな〜と為替が今と変動がなければ日本円で換算すれば2倍の儲け。
さらに、為替がトルコリラ高になり40TRYくらいになっていれば、4倍の儲けですね。
とは言え利回りがとても高いのは、政治、経済、為替などのリスクが高いからな訳で、利回りが高いだけで飛びつくのは危険ですね。
サラリーマンの資産運用としては王道ではありません。
やめておきましょう。
きっぱり!
(エイチ・エス証券さん、今回はごめんなさい)
やはり政治、経済、為替が安定している、アメリカ国債に敵うものは無いと思います。
ただし余剰資金でトライするのはそれもありです。
私は少し後ろ髪引かれています。
為替が半分でも利回りでイーブンですからね。でも、いまの中東情勢を考えると、やっぱり買わないかな。